保育内容 5領域の展開 高山静子
保育内容 5領域の展開
保育の専門性に基づいて
高山静子
B5判 208ページ
定価 2,000円+税
発売日 2022年7月19日
ISBN:978-4-910467-09-2
本書活用のための資料
保育者養成や園内研修で、本書を活用するために著者が作成した参考資料です。ぜひご活用ください。
PDF, ver.2022.07, 610Kb
PDF, ver.2022.07, 708Kb
内容紹介
保育者の専門性の一つには、保育内容の展開があります。
本書は、保育内容(5領域)を展開するための理論+実践書です。
理論編では、保育者はどのように保育内容を展開するのか、子どもに提供する文化(絵本、歌等)はどのように選択するのか、不適切な保育の展開はあるのか等について解説しています。
実践編では、5領域を運動、生活習慣、人間関係、市民性、自然、数量・図形、話し言葉、文字を読む・書く、表現(音楽)、表現(造形)の10の視点から、内容の性質に応じて0歳から就学前までの発達と、発達に合った具体的な活動・教材、展開の留意点、演習問題等を紹介しています。
園内研修や園内研究では、乳幼児期と学童期との教育内容の連続性を確保するカリキュラムマネジメントの資料として活用できます。また保護者懇談会や、保幼小連携の会議に際して、乳幼児期の教育を説明する資料として活用が可能です。
保育士・幼稚園教諭の養成課程では、以下の科目でテキスト・副読本として活用できます。「保育内容総論」「保育内容健康」「保育内容人間関係」「保育内容環境」「保育内容言葉」「保育内容表現」「教育課程・保育課程」。
目次
第 1 部 理論編
第1章 保育内容とは何か
1 幼稚園・保育所・認定こども園の保育内容とは何か
2 乳幼児期の保育内容と学童期以降の教育内容の違いは何か
3 保育内容の5領域とは何か
4 保育内容による性質の違い
第2章 保育内容の展開方法
1 保育内容を展開するとはどのようなことか
2 体験や文化の提供
3 乳幼児期と学童期の教育内容の連続性
4 保育者は活動で子どもを育む
5 活動を通して子どもを育む事例
▶演習1 保育内容の具体的な展開例
第3章 保育者は何を根拠に展開方法を決めるのか
1 専門職は根拠(専門知識)に基づいて行為する
2 教育目標に合った活動を考える
3 活動で得られる子どもの経験の質を考える
4 保育の方法原理に合った活動を想定する
5 乳幼児期の発達にふさわしい活動を考える
6 学びの意欲を支える視点から方法を考える
7 子どもが生きるこれからの社会という観点から方法を考える
▶演習2 文化の選択~絵本を題材に考える
第4章 保育内容の展開を支える計画と記録
1 子どもの姿からその後の活動の展開を想像する
2 保育者は内容の分析ではなく展開を行っている
3 保育内容を柔軟に展開できる計画や記録を用いる
4 豊かな展開を促す保育者の援助
5 内容の展開は対話的に行う
▶演習3 保育内容を展開するプロセスの質を豊かにする保育者の援助・環境構成
▶演習4 保育内容の総合的な展開をチームで創造的に考える
▶演習5 子どもの思考を促す保育者や環境と思考をじゃまする保育者や環境
第5章 不適切な保育内容の選択と展開方法
1 エデュケーショナル・マルトリートメントとは
2 不適切な保育はどのように判断できるか
3 不適切な保育内容の選択や展開方法を防止するには
▶演習6 園での不適切な教育を考える
第 2 部 実践編
第1章 運動
1 運動は豊かな心と知性の基盤
2 どのような体を育てたいのか
3 運動に関する発達のポイント
4 保育者が考える乳幼児期に経験してほしい基本的な動き
5 運動に関する発達と主な活動
第2章 基本的生活習慣(セルフケア)+身を守る
1 幼児期の終わりまでに身に着けたい生活習慣と必要な技能とは何か
2 生活習慣の土台となる発達のポイント
3 生活習慣に必要な技能の発達とその援助
▶演習7 幼児期の終わりまでに習得してほしい生活技能とは
▶演習8 生活習慣の指導を共有する
第3章 人間関係
1 人間関係は育てるもの
2 他律的な社会性と自律的な社会性
3 人間関係の発達の方向性
4 人間関係の発達
5 人間関係に関する活動
▶演習9 自分の行動を状況に合わせてコントロールする
第4章 市民性(道徳性・規範意識を含む)
1 市民性の教育とは何か
2 道徳教育とは
3 日本の暴力やいじめ、差別、排除の現状と保育
4 乳幼児期の教育により社会への向き合い方が育つ
5 葛藤を乗り越え他者を尊重する姿勢を育む乳幼児期の教育
6 市民性(道徳性・規範意識を含む)に関連する矛盾
7 市民性(道徳性・規範意識を含む)に関する発達と活動
▶演習10 暴力、いじめ、差別、排除の芽を育てる乳幼児の教育を考える
▶演習11 子どもと一緒に「よい行動・悪い行動」について考える
第5章 自然との関わり
1 家庭による自然体験の格差
2 自然のなかで育つことの意義
3 自然に関する保育内容
4 自然の活動に関する留意点
5 園の条件に関わりなくできる自然に関する体験
▶演習12 自然科学ほか子どもと保育者が環境に気づく、出会うきっかけになる絵本等
▶演習13 子どもに経験してほしい自然体験は何か
第6章 数量・図形等
1 乳幼児期の豊かな数量体験から、数量感覚が育つ
2 数量・図形等の感覚にはどのようなものがあるのか
3 数量・図形等に関する感覚の言葉を身につける
4 算数・数学は考える教科
5 数量感覚に関する発達のポイント
6 数量・図形のセンスが育まれる抽象化された具体物
7 数量・図形等に関する発達と活動
第7章 話し言葉
1 話し言葉に関する乳幼児期の保育
2 話す・聞く・読む・書くことの土台
3 「要領・指針」と小学校学習指導要領の言葉に関する目標と内容の比較
4 参考:小学校1、2学年の言葉に関する内容(知識及び技能)
5 話すことに関する発達と活動
▶演習14 保育内容の展開「相手の話を聞き、わかるように話す」
第8章 文字を読む・書く
1 話す、文字を読む・書くの発達
2 文字を読むことを支える力
3 文字を書くことを支える力
4 文字を読む・書くことに関する発達と活動
5 描きやすい、書きやすい道具を選ぶ
第9章 表現(音楽)
1 音楽、身体等の豊かな表現が育まれる保育とは
2 保育者・研究者が不適切だと考える音楽表現活動は何か
3 子どもが耳にする音の質にこだわる
4 子どもの操作の発達と音の質
5 表現(音楽)に関する発達と主な活動
6 園の生活のなかで歌いたい歌は何か
第10章 表現(造形)
1 豊かな造形表現が育まれる保育とは
2 保育者・研究者が不適切だと考える造形表現活動は何か
3 収集の方法と消耗と廃棄から素材を選ぶ
4 園と家庭の条件から素材を選ぶ
5 乳幼児期の発達と集団の保育に合う道具を選ぶ
6 表現(造形)に関する発達と活動
◉具体的な保育実践が紹介されている資料の例
著者紹介
高山静子(タカヤマ シズコ)
東洋大学教授。保育と子育て支援の現場を経験し、平成20年より保育者の養成と研究に専念。平成25年4月より東洋大学。教育学博士(九州大学大学院)。研究テーマは、保育者の専門性とその獲得過程。