発達障害のこどもを行き詰まらせない保育実践 野藤弘幸

発達障害のこどもを行き詰まらせない保育実践

すべてのこどもに通じる理解と対応

野藤弘幸
A4判 128ページ
定価 2,000円+税
発売日 2022年7月27日
ISBN:978-4-910467-02-3

内容紹介

発達障害やそれが推測される子どもへの保育実践をまとめました。「グレーゾーンの子ども」「気になる子ども」とも表されて、かつては「問題児」「困った子」とも呼ばれた子どもについて、保育者が「行動の理由を推しはかることに戸惑い、対応に困る」姿や場面を整理して、その理由と望ましい対応をできる限りわかりやすく解説しています。

乳幼児期の子どもが集団で生活する保育施設では、こうした子どもたちは他の子どもや大人たちから理解されない困り感を抱えています。その理由や具体的な対応を示しながら、同時に、さまざまな発達段階にあって、さまざまな個性を持つすべての子どもたちに通じる理解と対応を解説しました。

本書は、保育内容と保育環境を見直し、保育者による関わりの質向上につなげ、こうした子どもたちを「行き詰まらせない」保育実践を目指します。

目次

はじめに──戸惑い、対応に困る保育者のために

第1章 こどもの行動の理由に気づき、対応を見つける3つのキーワード

・「注意力」と「感受性」と「身体のリズム」
・キーワード その1:注意力とは?
・キーワード その2:感受性とは?
・キーワード その3:身体のリズムとは?
・発達障害のこどもへの理解と対応は、すべてのこどもに通じる

第2章 保育者が戸惑い、対応に困るこどもへの保育実践

・1 身体の使い方がわからない
・2 ものにあわせて操作できない
・3 トイレで排泄ができない
・4 午睡ができない
・5 偏食がある
・6 食べる量がわからない
・7 噛まずに食べる
・8 顔に触れられるのを嫌がる
・9 手をつながない
・10 いつも抱っこを求める
・11 他児をひっかいたり、噛んだりする
・12 自分を傷つける
・13 聞いても答えない
・14 しゃべらない
・15 他児につられる
・16 目があわない
・17 自分のものと他児のものの区別がつかない
・18 あそびがメディアの話題ばかりになる
・19 あそびがみつからない
・20 おもちゃの使い方が違う
・21 空気がよめない
・22 言葉の発達が遅い
・23 話が通じない
・24 ゲームや競技で負けそうになるとやめてしまう
・25 保育者と信頼関係が築けていないように感じる
・26 特定の他児に執着する
・27 保育者や他児に甘える
・28 同じ動作を繰り返す
・29 気になると自分でも止められない
・30 待てない
・31 生活習慣が身につかない
・32 思った通りにするよう、強く求める
・33 姿勢を保てない
・34 利き手が決まっていない
・35 うそをつく
・36 ものの管理ができない
・37 自分でしようとしない
・38 話を聞かない
・39 自己主張が強い
・40 目が離せない
・41 力加減がわからない
・42 手先が不器用だ
・43 運動が苦手だ
・44 文字に関心がない
・表「保育者が戸惑い、対応に困るこどもの姿」

第3章 こどもを行き詰まらせないために

・行き詰まったこどもの姿は、おとなが作り出したもの
・こどもを行き詰まらせる「愛着の問題」
・生まれ持って暴力が習慣づいているひとはいない
・行き詰まっている保護者もいる
・「愛着の問題」を持つこどもと保護者にとって、最も必要な保育での対応
・「愛着に問題がある」こどもへの保育実践
・45 愛着に問題がある
 「ひとがつくったものをわざと壊す」
 「ひとの首を絞める、蹴る、叩く」
 「『死ね』など暴言を吐く」
 「生き物を殺す」
 「仲間外れにする、すねて自分から外れる」

おわりに──こどもの育ちを支えるために

著者紹介

野藤弘幸(ノトウ ヒロユキ)

作業療法学博士。発達障害領域の作業療法の臨床、大学教授を経て、現在は、育てにくい、言うことを聞かない、学校に行かない、自分でしようとしない、何を考えているのかわからない、そのようにおとなから思われている乳児期から青年期のこどもたち、そのこどもたちを育てている保護者の相談と、そこに関わる保育者への研修を行う。

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